ひょっとしていけるかも?(day51-day54)2013年08月04日 08時37分41秒

このところ血液データが大きく改善している。輸血もグランも入れずにしばらく低迷期が続いたが、ステロイド開始以降、WBCは3100→3900→5100と右肩あがりで、Hb8.5、Plt7.1と移植後の最高記録となった。

先日の骨髄検査の良い結果を聞いて安心したせいなのか、もともと増え始める時期にあたっていたせいなのかは知らないが喜ばしいことだ。ここへ来てようやく、「ひょっとしていけるかも?」という実感が湧いてきた。

実はもうひとつ免疫力アップに貢献した出来事がある。8月1日の大濠公園の花火である。福岡市民ならよく知ってる夏の風物詩。

未だ病棟から一歩も出たことのない息子だったが、廊下のお散歩も順調に距離が伸びていたし、「ひょっとしていけるかも?」と思い、看護師さんに尋ねてみると、OKがでた。

この日は病院側の粋な計らいで屋上が夜間時間延長で解放されるので、開始時刻の20時を前にたくさんの入院患者が屋上に集まっていた。

疲れを心配して30分ほどのプチイベントだったが、息子は久々に外の空気を吸い、生の象徴のような花火をうっとり眺めていた。もうすぐ移転してしまうのでこの建物でみる最後の花火に私も感慨深いものがあった。

3月の再発以来、こんな幸せな日がまたやって来るなんて想像も出来ずにいた。本当に医療関係者の皆さんありがとうございます。

そして何より生命のタネとなる臍帯血を下さったお母さんと赤ちゃんに心から感謝します。強制はできないけど、次男、三男が結婚したらお嫁さんに頼んで臍帯血バンクに登録してもらおうと考えている。

嬉しい変化はまだあった!一昨日、息子が何気なく「お母さんネオーラルって臭いんやね。」といった。私はもう10日以上の前から飲んでいるのに何を今更と思ったが、ハッと気づいた。

味覚障害ばかり気にしていたが、実は嗅覚もなかったんだ!それ以来息子は匂いがわかるようになり、食べる量が少しずつ増え、食べ物の種類も増えていった。

そしてついに昨日の夕食は甘いもの以外の食べ物に挑戦すると言って、カップ麺を一本ずつ食べ始め、40分(?!)かかってとうとう完食した\(^o^)/複雑な味はわからないが塩味は感じるという。

食欲不振の原因は色々ある。胃のGVHDや味覚障害、心因性のもの。でも嗅覚障害も深く関わっているとは知らなかった。今、食べられていない皆様のご参考までに...

立秋とは名ばかりですが(day55-day57)2013年08月07日 09時21分07秒

残暑お見舞い申し上げます。福岡は今日も朝からうだるような暑さです。

私の疲労感と反比例するように息子の回復に弾みがついてきました。

まずMRIで脳炎の方の治療効果を診たのですが、脳炎以前の画像に戻っていることが確認でき、めでたくホスカビルが終了しました。

と同時に食欲がだいぶ戻りましたので栄養点滴もさようならです。点滴台を持ち歩かないで済むので行動範囲が広がりました。

じゃついでにIVHも抜去かというと、これはまだステロイドの静注のため残しています。それと食事が安定的に摂れるまでは残すみたい。

何よりの朗報が愛知の方に検査に出していたMRDの結果が返ってきて、微少残存病変は見当たりませんでした\(^o^)/とのこと。

私がしつこく、「見当たらないってどのレベルでですか?」と尋ねると、「現在の科学で調べうる最高の水準で見当たらないってことです。」と言われました。数字とかは仰らないのね~確かに聞いてもわからないけど...(^_^;)

これで本当に今回の臍帯血移植の治療がきちんと評価された訳です。皆さん、無事生着しました。今のところ再発もないみたいですよ。

ハァー、長かった。臍帯血は長いっ!

でもゆっくりしっかり根付いてくれて、成長して白血病細胞を抑えてくれているんだから、何も文句はありません。赤ちゃん細胞ありがとう!

なので昨日面会制限を解除しました。早速友達がひとり面会にやってきて楽しそうに話していました。友達の来訪は記憶を取り戻すのに一役買ってくれそうです。

残る課題はゴハンですね。体重は54㎏台に落ちてしまいましたので、一生懸命食べられる物を探しています。昨日初めてレトルトのカレーを食べました。スパイシーな感じはわからないけど、もう粘土のようには感じないといっていました。進歩だ!

階段の昇り降り(day58-day60)2013年08月10日 10時35分52秒

引き続き血液データが目に見えて改善しています。

WBCは5000台をずっとキープ、Hb9.5、Plt12.3と、あれだけ輸血してもらっていた血小板がもうすぐ正常値の範囲に突入しそうな勢いで毎日増えています。

本人もステロイドでハイになっているのか、何事にも非常に積極的になってきました。普段は無口なほうですが、最近本当によくしゃべります。お盆で帰省する友人たちと次々面会のアポを入れて、こちらがちょっとハラハラするくらいです。

お散歩も短い廊下をグルグル回るのに飽きたのか、階段に挑戦すると言って3階から1階まで往復してみました。看護師さんにくれぐれも気を付けてと念を押されましたが、意外と息も上がらず平気そうに見えました。

これで自信がついたのか昨日はエレベーターを使わずに本館1階の売店まで往復しました。

お散歩の後は毎日恒例の全身ストレッチ&マッサージをするので、筋肉痛も起こりませんでした。体調がよくなって来たのでこの頃は、お返しに肩もみをしてくれます。照れくさいのか自分の手のリハビリのためだからと言っています(^_^;)

ネオーラルも200㎎から170㎎に減らされ、今日からステロイドも静注ではなく、経口でプレドニン10錠(50㎎)に減薬されます。体重はまた減って53㎏台になりましたが、食事の量が増えましたので、週明けにはIVHも抜去になるでしょう。

味覚障害ですが、今わかるのが甘味と塩味の原始的な2種類で、酸味、苦味、旨味といった複雑な味がわからないそうです。だから唾液腺を刺激するようにと超酸っぱいグミを買ってきたのですが、本人は甘いだけ~といいます。

それでも選べば食べられる物の種類が増えて来たので、確実に食事量は増えました。カップ麺やカレー、牛丼などの他、おやつにアイス(氷菓)やグミなどもちょこちょこ食べています。

乳製品の許可が出ていませんので、豆乳(甘いフレーバー付)を飲み始めました。これでアルブミンが増えて来るのを期待しましょう♪

このまま突発的な感染による発熱などがなければ、ぼちぼち試験外泊になるかもしれませんね。いつごろかな~?またエアコンから何から家中大掃除しなくちゃね(汗)

体重ようやく底打ちか?(day61-day64)2013年08月14日 10時09分52秒

お盆期間に入り友達が尋ねて来てくれて嬉しそう♪このところ穏やかな日を過ごしています。

血液の方は一時WBCが9400とポンと上がり、すわ再発か?と慌てましたが、次回の値を見て判断とのこと。まあこんなこともあるさ、様子見であまり気にしないことにしました。

食欲と味覚障害が改善(苦味酸味もOK)しステロイド効果もあり、このところ1日6食くらい食べる日もあるみたい。おかげで体重は53㎏で底を打って少しずつ増え始めています。

食糧を運ぶのが大変になって来たので、1ヶ月ぶりに無菌食を再開してもらう事にしました。今のところ完食です。

食べることが安定し、ステロイドも経口(プレドニン10錠)に変ったのでIVHは不要になり、めでたく抜去となりました\(^o^)/

6月の無菌室入室以来ずっと着ていた前開きの長袖長ズボンのパジャマも、半袖のTシャツとハーフパンツになりました。すると何と脛の細さが目立つことか(泣)私の腕くらいしかない(^_^;)

昨日久しぶりに衛藤先生と病室でお会いしました。先生もニコニコされていてこちらも安心する~。「もう一息、ここでまたウイルスや菌なんかが悪さをしなければ退院が見えてくるね。」と言われました。

「先生、もう白血球がこんなにあるから大丈夫じゃないんですか?」と素人な質問をすると「免疫のシステムは白血球の数だけじゃないからね。一度かつての自分のシステムを壊してドナーの新しいシステムを再構築する訳だから、それなりに時間がかかるんですよ。」と仰いました。

確かにそういうことも定例会や講演会で勉強してきた気がするけど...忘れてた(>_<)改めて今、自分たちの立場でそれを確認しているような次第です。

体力の戻ってきた息子は、今度は記憶障害が気になるらしく、毎日ネットで色々調べています。確かに移植の苦しかった記憶などは忘れてしまっても問題ないんですが、脳炎治療が終わった後の最近の記憶もちょっとアヤシイ部分があって、会話の中で修正していくような感じです。

最近免許更新のハガキが来て、オレ車の運転憶えているかな~なんて言ってます。さらなる心配事は、免許の写真撮影(正面脱帽無背景)までに髪の毛が生えるかどうかということ。

現在、眉毛、まつ毛、髭はほぼ戻っていますが、髪はうっすら。でもおでこと頭の境目はわかるようになってきましたよ(笑)

初外出(day65-day67)2013年08月17日 09時03分58秒

お盆の一日、移植後初めての外出許可が出ましたので、記憶のリハビリを兼ねて3時間ばかりドライブを楽しみました。

服を着て靴を履くのは2ヶ月半ぶりでしょうか。外は暑いし移植後は直射日光を避けるように言われているので、ずっと車の中。後部座席で市内を初めて見るかのように珍しそうに眺めていました。

幼稚園や今まで通ったすべての学校、昔住んでいた家などできるだけ縁のある場所を、ゆっくりと説明しながらぐるぐる回りました。

やはり百聞は一見に如かずで、見ると記憶は呼びさまされていくように思われました。これがどの程度まで頭の中に残っていくのかは疑問ですが...本人は心から楽しそうにしていました。

途中ホテルのプールサイドの人気のないカフェでお茶をしました。綺麗なグラスに入ったジンジャーエールがこんなに美味しいとは♪と感激!世間一般の夏休みの雰囲気を自分もお裾分けしてもらって癒されたみたいでした。

プレドニンは9錠(45㎎)に減り、バクタとバルトレックスが開始。いよいよ退院に向けての準備が始まりました。ちなみに週末は試験外泊が許可されました。

家のお掃除もバッチリ!料理のメニューも決まりました。とにかく先生からは無菌食に準じるものをよく火を通してと言われました。どこにも出かけず家でのんびり過ごす予定です。

さあ、これから買い物に行って息子を迎えに行こうっと!

試験外泊(day68-day71)2013年08月21日 08時58分31秒

プレドニンが8錠(40㎎)まで減ったところで試験外泊になりました。週末の一泊二日です。

どこへも行かずに家でのんびりして、驚くほどのゴハンを平らげ、無事息子は戻っていきました。たくさんの足の裏の皮を床に残して...(-.-)

手の皮はひと通り剥けて綺麗になったけど、足の裏がまだ剥け残っているのです。そんな訳で母は外泊の前後、掃除に追われていました。

戻ってから熱も上がらずCRPも低く感染の兆候がないので、ホッとしました。何かトラブルがあって退院が延びるのはガックリくるものね。ひとまず試験外泊はクリアしたかな?

自信をつけたのか、息子はこのごろ記憶のリハビリの本を読む気になってきました。そして自分のケースに当てはまる部分に共感しています。

記憶障害に関しては、言語聴覚士の先生のアドバイスを受けて退院後に検査、必要ならリハビリを予定しています。

体調がよいので久しぶりに上司への経過報告の電話をしてみると、さらに元気の出るニュースが聞けました。

当初休職期間が6ヶ月ということでしたので、9月いっぱいで退職かと思い少し焦りを感じていたところ、もう少し何とかなりそうだということ。上司が人事部に掛け合ってくれたのか?

詳細はわかりませんが、気持ちに余裕が出来ました。退院しても通院があるし体力が落ちているのでいきなり元の職場に戻るのは無理です。

命が助かったことにまず感謝。でも次に来る社会復帰の壁。初発の時にも苦しみましたが、今回も何とか周囲の人に助けられて乗り越えてもらいたいものです。

2度目の試験外泊へ(day72-day74)2013年08月24日 08時50分25秒

何度試験されるのか?とお思いでしょうが、今週末も一泊二日の予定で息子が帰ってきます。

また食べたい物の希望リストを作成していますが、嬉しい反面作る方は調理にとても気を遣います。病院ではまだ無菌食扱いなので、普段よく我が家に登場する手抜きの冷奴やサラダが使えな~い!

プレドニンの減量は順調ですが、まだ7錠(35㎎)なので退院はまだ先ね~と思っていたら、先生が「この外泊から帰ってきて色々な検査の値が良かったら、来週には退院しましょうか。」と言われました。

退院はもちろん嬉しいけれど、衛生面の管理が難しいので、一抹の不安はあります。いつ食べ物の制限が緩和されるのか悩ましいところです。

血液データはWBCが1万越えしている外は、Hb、Pltともに基準値をやや下回るくらい、肝臓や腎臓の数値も目立った異常はなく安定しています。ステロイドのお陰で食欲がハンパなく、アルブミンなど栄養面も一気に回復し、体重も3㎏増えて56㎏になりました\(^o^)/

先日退院の準備としてソーシャルワーカーの方にお会いし、高次脳機能障害の検査リハビリをしてくれる病院の紹介を受けました。福岡県下に4ヶ所しかなく、一番近いのが天神のあいあいセンターだったのでそこに決めました。

いずれにしても退院後すぐに診察を受け今後の治療方針を確認したいと思っています。

今日で入院145日目です。

退院へのカウントダウンが始まりました。これが最後の試験外泊になるよう、気を引き締めて、この週末を過ごすことにしましょう!

いよいよ退院か?(day75-day79)2013年08月29日 09時49分02秒

2度目の外泊から戻った後も体調に変化なく、試験にはパス出来た模様。外泊から帰った夜は2日で2㎏ちかく体重が増えていましたが、次の日にはまた元に戻っていました(笑)

戻ってからは血液検査はもとより胸部のレントゲンや脳波の検査など退院までにしなければならない検査が続いています。

先日は看護師さんの退院説明がありました。渡された「造血幹細胞移植を受けられた方へ」という手作りのテキストには退院後の生活で気を付けることが色々書かれてありました。

18歳の初発時の治療を終えて退院する時のような心細さはさすがにありませんが、衛生面や栄養面でやはり細々とした注意点は多く、「患者さんが主婦の場合はかなり大変だろうな~、サポートする家族に環境を整えてもらえる分だけ息子はまだ恵まれている。」とつくづく思いました。

無菌食も退院と同時に一気に制限が解かれ、生野菜、生魚、生卵、納豆なども新鮮で清潔であればOKだそうです。牛乳などの乳製品なども大丈夫。

ただ貝類は生でも加熱しても×。漬物や味噌なども手作りの物は×。売られているパッケージに入って加熱殺菌処理してあるものならOKです。

いずれにしても作ってすぐ食べるのを基本にしていれば、そんなに神経質にならなくてもいいのかな?と考えています。

これからは家にいて息子の食事作りと掃除、血液外来と脳のリハビリ、社会復帰の為に会社に出す資料作りをアドバイスすること。こんなことが私の生活の中心になってきそう。

過保護?とんでもない!

さっさと社会復帰してもらって自分の楽しみを享受したいだけ。もちろん合間にランチにも行きますからみなさん誘ってくださいね。5ヶ月間休んでいたお稽古事も再開したいな~♪

5ヶ月間といえば駐車場のおじさんともすっかり顔なじみになりました。たまに違う車でいくと、あれ?いつものと違うね~と言われるほどです。おじさんたち新しい病院にも移られるのかしら、もう会えないのかな?

9年前初発時の化学療法を終えて一番心配だったのが再発。今回、臍帯血移植を終えて一番の不安は慢性GVHD。急性はそれほど重篤ではなかったので、慢性もどうか少しくらいは辛抱しますから命に係わるようなスゴイのは勘弁して欲しい。

でもGVHDが出てるとGVL効果もあり再発を抑えてくれる。この悩ましいジレンマを抱えながら、これからもやっていくしかないんだろうな。

ま、起こる前のことあれこれ心配してもしょうがないので、まずは体力回復。帰ってきた息子と一緒に夜(日光に当たれないので)のお散歩がんばろう!

昨日の血液データはまずまずですが、一時10万台に乗った血小板がじわじわと減り続けているのがちょっと心配。プレドニンの減量は順調で6錠(30㎎)になりました。

さて無事に週末の退院が実現するでしょうか?もう最後のどんでん返しなんてホント嫌だからね~(汗)