久留米大学血液疾患医療講演会に行ってきました! ― 2013年11月12日 11時34分57秒
2013年11月10日(日)久留米大学医学部 血液・腫瘍内科主催の医療講演会に参加しました。思った以上に多くの参加者があり、会場は熱気に包まれていました。
息子と一緒でしたので、全部で6つの講演のうちの前半3つしか聴くことが出来ませんでしたが、私たちにとってタイムリーなテーマがありましたので、少しお話ししたいと思います。
それは「造血幹細胞移植の長期フォロー」と題した永藤宏司先生の講演でした。
CIBMTR、EBMT、ASBMTが共同で作成した、地域医療従事者に対する自家および同種移植後のスクリーニングと合併症予防に関する長期フォローアップガイドラインを要約して説明されました。
CIBMTR:Center for International Blood and Marrow Transplant Research
EBMT:European Group for Blood and Marrow Transplantation
ASBMT:American Society for Bone Marrow Transplantation
ガイドラインの対象者は移植後6ヵ月以上を経過した患者です。晩期合併症は、同種移植患者に特に多くみられますが、自家移植患者にもリスクがあるため、全移植患者に対して、晩期合併症の注意が必要です。
そもそもガイドラインが作成されたのには、白血病などの血液疾患が不治の病からある程度治る病気になってきたという背景があります。原疾患が治癒した後の晩期障害については、血液内科医が血液データだけ見ていても不十分だからです。
そこで移植患者が退院後に留意すべき3つの点についてわかりやすく説明されました。
1.健康的な生活をする。
①バランスのよい食事をとり体重の増加を抑える。
移植経験者は動脈硬化になりやすく、免疫抑制剤で高血圧や高血糖、ステロイドでも食欲増進を起こすため成人病のリスクが高くなる。
適切な食事とは昔は無菌を意味したが、今では体に有害な菌が少ししか入っていないものを意味するよう変わってきた。
医師によって判断が異なるがあまり神経質に制限する必要はない。元来、人間の身体には菌がいっぱい存在しているのだから無意味。
②適度な運動をする。
成人病の予防とステロイドの影響を受けて下がった骨密度を上昇させる。
③禁止事項
たばこ&日焼け
特に免疫抑制剤を服用中は服装や日傘、日焼け止めクリームなどで防ぐ。日焼けはGVHDの引き金になったり、悪化させたりする。皮膚のみならず他の臓器にも影響がある。
2、定期的な健康チェックを行う。
血液内科以外の領域は患者自身が主治医に声をかけることも必要になってくる。
①患者と家族は一緒に受診した方がベター。
②血圧、心臓、血糖などは個別にチェック。
③2次性がんのチェック。
④歯科、眼科の受診。
⑤予防接種。
大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンがあり、移植患者が受けてよいのは不活化ワクチン。インフルエンザは不活化ワクチンなので移植後6ヶ月以上の患者は受けて良いが、患者と周辺の人全てが受けないと意味がない。
最新のガイドラインでは、風疹は移植後2年で免疫抑制剤を服用していない人は抗体検査を受けて、抗体がなければ接種してよいことになっている。
参考までに日本造血細胞移植学会のガイドラインは↓
http://www.jshct.com/guideline/pdf/2008yobousesshu.pdf
3、自分の情報は自分で把握する。
血液疾患は長期フォローが必要な疾患であり、病院のカルテ保存義務は5年である。これからは患者も自分で自分の情報を管理する心構えが必要である。
主治医に相談すれば情報を提供してもらえる時代になっている。
最後に...
先生からのアドバイスを3つ。
①100%病気に罹る前の状態には戻らないと思って生活する。
②不必要なことはしない(過度な制限は無意味)
③必要なことをしっかりする(手洗い、ハミガキ、予防接種など)
普段あまり医療講演会では取り上げられないテーマだったので大変参考になりました。
食事で迷うことの多い私でしたが、「基本的に誰がどのように作ったものかが分かる物を食べなさい。」というアドバイスが一番ピンと来ました。
そしてどうしても食べたいものがあったら長藤先生は「食べてみなさい。」と仰るそうです。ただ、何かあった時には何をどのように食べたかを伝えれば対処の方法はあるのだからとユーモラスな感じで結ばれました。
他にも5つ演目があったのですが、それはCYさんが次号の会報で伝えてくださると思います。
※造血幹細胞移植後の長期フォローアップガイドライン
→http://www.hsct.jp/focus/0712/fc1.pdf
息子と一緒でしたので、全部で6つの講演のうちの前半3つしか聴くことが出来ませんでしたが、私たちにとってタイムリーなテーマがありましたので、少しお話ししたいと思います。
それは「造血幹細胞移植の長期フォロー」と題した永藤宏司先生の講演でした。
CIBMTR、EBMT、ASBMTが共同で作成した、地域医療従事者に対する自家および同種移植後のスクリーニングと合併症予防に関する長期フォローアップガイドラインを要約して説明されました。
CIBMTR:Center for International Blood and Marrow Transplant Research
EBMT:European Group for Blood and Marrow Transplantation
ASBMT:American Society for Bone Marrow Transplantation
ガイドラインの対象者は移植後6ヵ月以上を経過した患者です。晩期合併症は、同種移植患者に特に多くみられますが、自家移植患者にもリスクがあるため、全移植患者に対して、晩期合併症の注意が必要です。
そもそもガイドラインが作成されたのには、白血病などの血液疾患が不治の病からある程度治る病気になってきたという背景があります。原疾患が治癒した後の晩期障害については、血液内科医が血液データだけ見ていても不十分だからです。
そこで移植患者が退院後に留意すべき3つの点についてわかりやすく説明されました。
1.健康的な生活をする。
①バランスのよい食事をとり体重の増加を抑える。
移植経験者は動脈硬化になりやすく、免疫抑制剤で高血圧や高血糖、ステロイドでも食欲増進を起こすため成人病のリスクが高くなる。
適切な食事とは昔は無菌を意味したが、今では体に有害な菌が少ししか入っていないものを意味するよう変わってきた。
医師によって判断が異なるがあまり神経質に制限する必要はない。元来、人間の身体には菌がいっぱい存在しているのだから無意味。
②適度な運動をする。
成人病の予防とステロイドの影響を受けて下がった骨密度を上昇させる。
③禁止事項
たばこ&日焼け
特に免疫抑制剤を服用中は服装や日傘、日焼け止めクリームなどで防ぐ。日焼けはGVHDの引き金になったり、悪化させたりする。皮膚のみならず他の臓器にも影響がある。
2、定期的な健康チェックを行う。
血液内科以外の領域は患者自身が主治医に声をかけることも必要になってくる。
①患者と家族は一緒に受診した方がベター。
②血圧、心臓、血糖などは個別にチェック。
③2次性がんのチェック。
④歯科、眼科の受診。
⑤予防接種。
大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンがあり、移植患者が受けてよいのは不活化ワクチン。インフルエンザは不活化ワクチンなので移植後6ヶ月以上の患者は受けて良いが、患者と周辺の人全てが受けないと意味がない。
最新のガイドラインでは、風疹は移植後2年で免疫抑制剤を服用していない人は抗体検査を受けて、抗体がなければ接種してよいことになっている。
参考までに日本造血細胞移植学会のガイドラインは↓
http://www.jshct.com/guideline/pdf/2008yobousesshu.pdf
3、自分の情報は自分で把握する。
血液疾患は長期フォローが必要な疾患であり、病院のカルテ保存義務は5年である。これからは患者も自分で自分の情報を管理する心構えが必要である。
主治医に相談すれば情報を提供してもらえる時代になっている。
最後に...
先生からのアドバイスを3つ。
①100%病気に罹る前の状態には戻らないと思って生活する。
②不必要なことはしない(過度な制限は無意味)
③必要なことをしっかりする(手洗い、ハミガキ、予防接種など)
普段あまり医療講演会では取り上げられないテーマだったので大変参考になりました。
食事で迷うことの多い私でしたが、「基本的に誰がどのように作ったものかが分かる物を食べなさい。」というアドバイスが一番ピンと来ました。
そしてどうしても食べたいものがあったら長藤先生は「食べてみなさい。」と仰るそうです。ただ、何かあった時には何をどのように食べたかを伝えれば対処の方法はあるのだからとユーモラスな感じで結ばれました。
他にも5つ演目があったのですが、それはCYさんが次号の会報で伝えてくださると思います。
※造血幹細胞移植後の長期フォローアップガイドライン
→http://www.hsct.jp/focus/0712/fc1.pdf
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