骨髄提供者の最終説明の場に立ち会いました2006年03月11日 10時48分29秒

最近珍しい体験をしました。ドナーになられる方から最終同意を頂くのために、骨髄バンクのコーディネーターが行う説明の現場に、立会人として代表の宮地さんと共に同席させていただいたのです。

場所は骨髄採取予定の、とある病院の一室。メンバーは骨髄移植推進財団の地区事務局に所属するコーディネーターと調整医師(採取予定の医師)、ドナーさんとその家族、そして第三者の立会人です。

説明は「骨髄提供者となられる方へのご説明書」という小冊子をもとに、時間をかけて懇切丁寧に行われました。

何もかもが初めてで、実に貴重な体験でした。今まで知識としては知ってましたが、実際は何もわかっていなかったんだなあというのが、立ち会った率直な感想です。

ひとことで言うと、ドナーの方の強い意思にまず感服しました。だって、コーディネーターも調整医師も、起こりうるありとあらゆる悪い可能性を淡々と説明されるんですもの。普通の人なら、ちょっと考えさせて頂きますって気持ちになりますよ。

でもやはりドナーさんにとっての不利益もきちんと説明しておかなければ移植のコーディネートは成功しないのだとわかりました。

確率にするとわずかですが、それでも起こるかもしれない全ての条件を受け入れ、最終同意に署名するドナーさんとそれを支える家族の方の気持ちを考えると、本当に頭が下がります。

闘病中の患者さんには、そこまで推し量る余裕はないかもしれませんが、私は感謝してもし足りない気持ちになりました。

現在、骨髄バンクの登録者は20万人を突破し、HLA適合者が見つからないという事態は、以前に比べてかなり少なくなってきています。しかし、ドナーとしての確認検査に通っても、いざ最終同意になると成立しないという事も、また少なくないのだそうです。

ドナーには万が一に備えての保険だけはかけてあるものの、仕事を休んだりした分の休業補償もなく、子どもを預ける場合の保育料も自己負担になっています。色々大変なことがあるにも関わらず、移植のコーディネートが成立するのは、最終的にはドナーの善意だけが頼りなのです。

今回の立会いで、こんな大変な決断を、実にさらっと、人として当然の事だからという態度で、行なってらっしゃるドナーさんとその家族の様子に、とても爽やかな印象を持ちました。本当に有難うございました。移植の成功を心からお祈りしています。