全国協議会の九州ブロックセミナーに参加しました ― 2013年02月05日 12時10分46秒
全国骨髄バンク推進連絡協議会の九州ブロック会議が、2月3日(日)国際会議場で開催されました。
九州各県からの代表が活動報告をされ、リボンの会からも10名ほどが参加しました。
中でも全国協議会の野平晋作さんの欧州バンクの視察報告が興味深かったので、抜粋して載せておきます。
昨年10月28日~11月4日の7日間で、英・独・仏の骨髄バンクの現状を視察されました。
以下はその概要です。
【用語説明】
BMT:骨髄移植
PBSCT:末梢血幹細胞移植
G‐CSF製剤:骨髄中で好中球のもとになる細胞(前駆細胞)の増殖をさかんにし、好中球の働きを強める作用がある
イギリス…ANT
・1974年設立の世界最初の骨髄バンク
・骨髄と末梢血幹細胞の提供に特化した組織
・患者のフォローアップには関与しない
・ドナー人口は日本とほぼ同数だが、人口比では日本の2倍近く
・ドナーの年齢制限16~30歳(ドナー平均年齢29歳)
・登録窓口 唾液採取キットによるオンライン登録が最多で32%
・衣装区方法はPBSCTが主流
・臍帯血バンクはあまり盛んでない
ドイツ…ZKRD
・1991年設立(日本のJMDPとほぼ同時期)
・ドナー数は日本の10倍以上、人口比では15倍程度
・唾液によるオンライン登録の成果で登録数が飛躍的に伸びた
・合法的兵役拒否の代わりの社会奉仕やボランティアが一助か?
・適合率80%で移植率がほぼ同じは驚異的
・移植方法はPBSCTが主流
フランス…FGM
・1986年設立の公的機関
・骨髄・末梢血・臍帯血すべてを扱っている
・ドナー数は日本の半分だが、人口比では日本と同数程度
・年齢制限は40歳以下
・移植方法はPBSCTが半数で、残りをBMTとCBTで分け合う
3ヶ国に共通する特徴は...
①移植方法はPBSCTが最も多い
②ルートはオンライン登録が最も多い
③ドナーの若返りに成功している
などの点である。
日本は血液による窓口登録なので唾液によるオンライン登録より数は少ないが精度が高い。
ドイツは適合率こそ日本に劣るが、適合者がほぼ100%移植するという点は評価できる。
日本はBMTが主流のため、全身麻酔や入院等でドナーの負担が大きいせいか、90%の適合率ながら、実際の移植は65%しか行われていない。
G-CSF製剤がドナーに与える長期的な影響を考えて、日本ではなかなかバンクでのPBSCTに踏み切れずにいたが、近親者間では今や日本でもPBSCTが主流になりつつある。
バンクでもPBSCTが主流になってくれば、35%のギャップは縮まってくるかもしれない。
また今後はSNSなどのソーシャルツールを使って、ドナーのリテンションを図ったりすることも重要である。
九州各県からの代表が活動報告をされ、リボンの会からも10名ほどが参加しました。
中でも全国協議会の野平晋作さんの欧州バンクの視察報告が興味深かったので、抜粋して載せておきます。
昨年10月28日~11月4日の7日間で、英・独・仏の骨髄バンクの現状を視察されました。
以下はその概要です。
【用語説明】
BMT:骨髄移植
PBSCT:末梢血幹細胞移植
G‐CSF製剤:骨髄中で好中球のもとになる細胞(前駆細胞)の増殖をさかんにし、好中球の働きを強める作用がある
イギリス…ANT
・1974年設立の世界最初の骨髄バンク
・骨髄と末梢血幹細胞の提供に特化した組織
・患者のフォローアップには関与しない
・ドナー人口は日本とほぼ同数だが、人口比では日本の2倍近く
・ドナーの年齢制限16~30歳(ドナー平均年齢29歳)
・登録窓口 唾液採取キットによるオンライン登録が最多で32%
・衣装区方法はPBSCTが主流
・臍帯血バンクはあまり盛んでない
ドイツ…ZKRD
・1991年設立(日本のJMDPとほぼ同時期)
・ドナー数は日本の10倍以上、人口比では15倍程度
・唾液によるオンライン登録の成果で登録数が飛躍的に伸びた
・合法的兵役拒否の代わりの社会奉仕やボランティアが一助か?
・適合率80%で移植率がほぼ同じは驚異的
・移植方法はPBSCTが主流
フランス…FGM
・1986年設立の公的機関
・骨髄・末梢血・臍帯血すべてを扱っている
・ドナー数は日本の半分だが、人口比では日本と同数程度
・年齢制限は40歳以下
・移植方法はPBSCTが半数で、残りをBMTとCBTで分け合う
3ヶ国に共通する特徴は...
①移植方法はPBSCTが最も多い
②ルートはオンライン登録が最も多い
③ドナーの若返りに成功している
などの点である。
日本は血液による窓口登録なので唾液によるオンライン登録より数は少ないが精度が高い。
ドイツは適合率こそ日本に劣るが、適合者がほぼ100%移植するという点は評価できる。
日本はBMTが主流のため、全身麻酔や入院等でドナーの負担が大きいせいか、90%の適合率ながら、実際の移植は65%しか行われていない。
G-CSF製剤がドナーに与える長期的な影響を考えて、日本ではなかなかバンクでのPBSCTに踏み切れずにいたが、近親者間では今や日本でもPBSCTが主流になりつつある。
バンクでもPBSCTが主流になってくれば、35%のギャップは縮まってくるかもしれない。
また今後はSNSなどのソーシャルツールを使って、ドナーのリテンションを図ったりすることも重要である。
コメント
_ CY ― 2013年02月07日 19時38分30秒
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バンクの状況が判り、ためになりました。
日本の35%ギャップ(移植数と登録数のギャップ)
が改善できる糸口となればいいなと思います。