ネクサスのリンパ腫医療セミナーin福岡に行ってきました!2014年04月13日 14時32分32秒

4月12日(土)福岡大学病院メディカルホールで行われたネクサスのセミナーに行って来ました。

毎年1回この時期にグループ・ネクサス・ジャパンという悪性リンパ腫の全国規模の患者会が主催する福岡でのセミナーです。

私は白血病の息子を持つ母ですが、同時に悪性リンパ腫の母を持つ娘という立場でもあり、母のために新しい治療法の情報を求めて参加しています。

母はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で4年前、化学療法、放射線治療、外科手術という悪性リンパ腫のフルコースを辿りましたが、無事生還し今も寛解を保っています。

今のところDLBCLの予後は比較的良く、83歳という高齢ですが自立してひとり暮らしをしています。しかし、息子でも9年たって再発したので、再発の可能性はゼロではないといつも思っています。

患者である母はのんきな性格で病気は治療で治ったと思い込んでいるので、それはそれでとてもいいことだと思います。再発しないコツは再発という言葉すら忘れていることだと先輩患者さんから聞きました。

今回のセミナーで感じたのは血液疾患の分野は白血病であれ悪性リンパ腫であれ、本当に日々進歩しているのだという点です。

個別には書きませんが、昨年のセミナーで治験中だった新薬が今年はもう終わって申請中であるとか、ある病気の薬が別の病気に効果のあることがわかり保険適用なったとか、毎年新しい情報がもたらされます。

医学の分野は日進月歩ですが、医療の現場においては昔から変わらぬ悩みがあるということを、今回の鵜池先生(九州がんセンター)のお話で再認識しました。

それは医療者と患者・家族のコミュニケーションの問題です。これは古くて新しいテーマですね。患者会でも主治医とコミュニケーションが上手く取れない悩みはままあります。

患者の側からは、先生は忙しいのだから、要点を手短にメモして、必ずアポを取って、先生が無理なら看護師さんや心理士さんを通して、とかアドバイスしてきましたが、今回は全く逆の医療者の側からの歩み寄りでした。

CST(コミュニケーションスキルトレーニング)といって医療者が患者と向き合う時の表情・身ぶり・姿勢・声の調子などが言葉そのものより、影響が大きい為トレーニングが必要という報告でした。

そして意外に「沈黙」や「間」の使い方が重要だという点も分かってきたそうです。特に悪い情報、伝えにくい内容の時に間の取り方には効果があるとのことでした。

そして近年CSが治療効果に与える影響が学術的にも注目されてきたというのです。これは何も論文でなくても経験として患者は実感することがありますよね。

柔らかい言葉や表情で言われたら質問してもいいのかなって思うし、PCの画面ばかりみて患者の顔もみない先生なら聞きたい言葉も飲みこんでしまうでしょう。

患者は医師に命を預けるのですから、信頼関係を築けない医師に充分な説明もなく、また説明されてもわからない状態で過酷な治療に立ち向かうことは出来ません。

そこでがんセンターではわかりやすい言葉で書かれた意志決定シートを作成し、医師との面談に臨む前に読んでもらうようにしているそうです。

特に移植のような治療はあらゆる場面で生と死は表裏一体で、わずかなことでどちらへ転がるかわかりません。

移植が成功したら何がしたいか?ということと併せて、移植中最悪の事が起こったらどうしてもらいたいか?というアドバンス・ケア・プランニングが必要となってきます。

患者が治療を受けている途中、もし自分に意思決定能力がなくなっても、自分が語ったことや書き残したものから自分の意思を尊重して、最善の医療を選択してくれると思えるようなケアは、それまでに築いた信頼関係がないと出来ません。

このような話は医療講演会では初めて聞きました。鵜池先生のお人柄が垣間見えるような講演でした。

それにしても生命のかかったコミュニケーションってむずかしい。医療者にもいろんな方がいるし患者もまた然りですもんね。

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