HTLV1のシンポジウムに行ってきました2010年06月08日 09時17分54秒

6月5日(土)に「知ってください!HTLV1(ATLウイルス)のこと」と題されたシンポジウムが、エルガーラホールで開催されていましたので行ってきました。

主催はNPO法人「日本からHTLVウイルスをなくす会」で、代表の方はATLではなく、同様のウィルスから発病する別の難病HAMの患者さんです。

宮地さんと会場で待ち合わせをしたのでしたが、あまりの人の多さに会えずじまいで帰ってきました。それくらい、この病気は九州に縁のある、関心の高い病気なのです。

このウイルスは縄文時代から存在している日本人特有のウイルスで、大陸からの人の移入でどんどん減っていったと考えられています。ですから今でも韓国や中国にはあまり感染者がいません。

もちろんウイルスの存在が科学的に証明されたのは30年ほど前のことですが、キャリアが本州の太平洋側や沖縄・北海道などに偏在していたため、風土病として長く放置されてきました。

1990年度に出された旧厚生省研究班の重松レポートと呼ばれる提言により、ウイルスの感染力がそれほど強くないことを理由に国の対策は消極的になり、地方自治体任せにされてきました。

その結果、ここ20年の人の移動でウイルスは全国に拡散してしまいました。浅野史郎さんのATL発病→骨髄移植は記憶に新しいところであります。

今後は全国的な検査や対策が必要となってきます。しかし、重松レポート以降の研究費の削減で研究者の数も意欲も減少してしまいました。

まず早急に国に総合対策の窓口を作ることが望まれます。厚生労働省の窓口が縦割りのため、

①ウイルス感染症対策なのか?
②がん対策(ATLの場合)なのか?
③難病対策(HAMの場合)なのか?
④母子保健(母乳による垂直感染防止の場合)対策なのか?

いくつもにまたがるようなこの病気の場合どこに請願に行けば判らなかったと代表の菅付加代子さんは仰っていました。

国が動けば、次にキャリアが発病しないための薬、もしくは発病後の治療薬の開発や、感染の拡大防止対策の実施を早急に行うべきでしょう。

ウイルスの感染経路は主に3つと考えられています。

①輸血
②夫婦間の水平感染
③母乳による垂直感染


①については現在は検査を実施して対策が確立しています。
②についてはコンドームの使用などが有効です。
③については、後世にウイルスを伝えない為の対策として、産婦人科医や医療従事者への教育、公費負担による妊婦検診の実施などです。

いずれにしてもこのウイルスの存在を世間が正しく理解する為の広報活動が大前提にないと、知らない間にキャリアになっていた、パートナーや子どもに移していたという悲劇はなくならないでしょう。

私たち他の血液疾患の患者家族からみると、白血病の中で唯一原因がはっきり判っているATLが、こういった社会のしくみの中で解決されないというのは悔しい限りです。

ATLは発病すれば大変厳しい病気です。移植がもっとも有効なのですが、感染後何十年もたっているため、患者は高齢で移植という治療が出来ない、また近親者からの移植もなかなか考えにくいからです。

現在キャリアの数は100万人以上、そのうち5%がATLを、0,3%がHAMを発症すると言われています。シンポジウムの資料には国に総合的な対策を求める署名用紙が同封されていました。

私個人はもちろんするつもりですが、リボンの会でも何かお手伝いできないかと考えています。

リボンの会にもATLの患者家族がいらっしゃるので、今まで医療講演会などで学び、ある程度病気の知識はありましたが、こういった視点で考えたことはなかったのでショックを受けました。

興味のある方はこちらをぜひご覧ください。
「日本からHTLVウイルスをなくす会」
http://www.minc.ne.jp/~nakusukai/index.html

大変勉強になりました。有難うございました。

コメント

_ 日本からHTLVウイルスをなくす会 ― 2010年09月13日 15時48分11秒

代表の菅付(すがつき)と申します。シンポジウムに足を運んでいただき、有難うございました。HAM発症の原因は「再生不良性貧血」の治療のために2年間ほど受け続けた輸血によるものでした。つまり、私もみなさまのお仲間です!
9月8日菅総理大臣に面会し、「HTLV-1総合対策」を国家特命チームで対策を取るという約束を得られました。お送りいただいた署名は多くの世論の声として受け止めてもらうため、特命チームに提出いたします。
皆様のご協力に感謝いたします。有難うございました。

_ リボン管理人 ― 2010年09月13日 21時14分31秒

シンポジウムには代表の宮地と2人で参加させて頂きましたが、直接お会いできずに残念に思っていました。

微力ながらこういう形で協力出来たことに回答を頂き、ほっとしています。同じ九州に拠点を置いて活動をしている者同士、今後も助け合っていけるといいですね。

お忙しい中コメントを有難うございました。

_ 宮地です ― 2010年09月15日 01時23分54秒

帰りなさい♪
一時は、どうなる事かと本当に心配しましたが
お母様も管理人さんも元気で戻って来てくれてホントに嬉しいです。
会報発送準備には明るく元気な管理人さんが見れますね♪。

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