未来プロジェクトに参加して2015年08月30日 09時22分50秒

福岡直撃の台風の後、朝夕はずいぶん凌ぎやすくなりました。息子は皮膚トラブルがあったくらいで、大きく体調を崩す事はなく夏を乗り切れそうです。

今月末でちょうど退院して2年が経過しました。再入院することもなく、少しずつ薬も減ってきて、ゆっくりゆっくりですが、普通の人に近づいて来たように思います。

移植後2年たった頃から本人も少し余裕が出て来たのか、仕事以外にも、最近始めたばかりのテニスを楽しんだり、今回は誘ってくださる方がいらして、ボランティアにも参加してみたりと忙しくしています。

ボランティアと言っても、現場研修に出る前の医療系の学生さんたちの前で自分の体験を話すだけなのですが、記憶を一部失くしている息子にとって、これはとても勇気のいることでした。

言葉に詰まったりしないようにと原稿を書き、5分以内に収まるようにと何度も読む練習をして臨みました。不安そうなので一応私もついて行きましたが、そんなことは杞憂に終わり、息子はこの一歩を踏み出したことで自信がついたようでした。

自分の体験がこれから医療者となる若い世代の役に立つ。こんなに救われる経験が他にあるでしょうか?

病気をしてからの息子は与えられるばかりの立場だったと思います。与えられるべき物を与えられない不幸もありますが、一人の自立した人間として与えられるばかりでも幸せとは言えないと思います。

この日息子はセミナー後の懇親会へは一人で参加しました。深夜に帰宅し、一緒のテーブルになった学生さんたちと意気投合し、写真を撮ってLINEのグループを作ったと嬉しそうに話してくれました。

このイベントは未来プロジェクトと言って、、医師、薬剤師、看護師、臨床心理士、理学・作業療法士、放射線技師など医療従事者を目指す学生が集まって、臨床で活躍している先生や乳がん体験者のかたと一緒に「患者さんのためのチーム医療」を考えるプロジェクトです。

九州がんセンターの大島先生が理事をされているNPO法人ハッピーマンマが主催されている催しで今年で8回目になるそうです。http://www.congre.co.jp/happymamma/event.html

だからでしょうか、体験発表の半数が乳がん経験者の方で、息子のように若い血液がんの発表者は他におられませんでしたので、学生さんたちに与えたショックは大きかったようでした。

ここに自分から申し込んで参加されている学生さんたちは、もうそれだけで意識が高いと思いますが、こういう活動が広く世間に認識されて、医療者と患者のコミュニケーションが上手く取れるようになれば、治療効果も上がっていくことでしょう。

これは医療者だけでなく患者・家族も勉強していかなければならないことですよね。単なるクレーマーにならないように、しかし自分の望むことはしっかり伝えられるように。コミュニケーションって難しいですね。