ネクサス医療セミナーに行ってきました2010年05月25日 09時15分46秒

23日(日)大雨の中、福岡大学で行われたセミナーに宮地さんと一緒に行ってきました。家から福大までは結構近いんですが、福大のキャンパスが広くて駐車場から会場までの間に濡れてしまい、おまけに迷って若干遅刻...高松先生ごめんなさい(^_^;)最初の方ちょっと聞き逃してしまいました。

今までも毎年リボンの会のスタッフとして勉強のために参加していましたが、今回は母のこともあり、初めてきちんと入会して聴いてきました。いや~本当に勉強になりました。

悪性リンパ腫は病型がものすごく多くて(厳密に分類すると70くらいある)とにかくややこしいので、今までは自分の頭の中で整理できず、いつも右から左に流れていっていましたが、今回初めて深く理解できたように思います。

セミナーの構成もよくて、まず高松先生が悪性リンパ腫の概要をざっくりと説明され(これは初心者向け)、次に伊豆津先生がリンパ腫の中でも日本人にもっとも多いタイプのB細胞リンパ腫について細かい説明をされ、3番目に鈴宮先生が少ないタイプのT/NK細胞リンパ腫について、4番目に鵜池先生が新しい(高額な?)治療法ゼヴァリンについて講演されました。

これは情報を整理して病気に対する理解を深める上でとても良かったと思います。私もインターネットや本でもちろん情報を得ますが、やはり講演会にまさるものはないと思います。それまでバラバラの点であった情報が講演を聴くことでつながって線になり、自分の頭の中で像が出来上がります。

体調のいい時期の患者さんや家族の方などは機会があれば積極的に行かれることをオススメします。

母のDLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)についても、前の病院ではじめは胃がんと間違われそうになり、あまり症例がないのかと心配しましたが、リンパ腫の中ではもっとも多いタイプであり、標準治療が確立しているので安心しました。

また中悪性度(やや速く進行する)ではありますが、しっかり治療すると再発はそれほど多くないそうです。むしろ低悪性度(ゆっくり進行する)でも濾胞性リンパ腫の方が再発再燃を繰り返しやすいそうです。

そんな濾胞性の患者さんに朗報なのが、新薬のゼヴァリンです。今までは九州エリアでは、九州がんセンターと九州大学病院でしか扱われていませんでしたが、福岡大学病院と聖マリア病院でも開始できる準備が整い、近々治療が始められるそうです。

なぜならゼヴァリンは、血液内科医がひとりで使うことができるものではなく、放射線医や技師、看護師と一緒になって行うチーム医療だから、準備に時間がかかるそうなのです。その取り扱いをチームのみんなが研修に行って学び理解し、そこからのスタートとなるからです。

ゼヴァリンは大変高価な治療ですが、画期的な発想の薬で、九州がんセンターでも治療効果は上がっているそうです。今後はどのタイミングで使用するかが問題となってくるだろうと鵜池先生は仰っていました。

ここ数年、白血病は全体的にそれほど増えていないにも関わらず、リンパ腫は高齢者を中心に年々増えているそうです。

リンパ腫はリンパ球が増殖して腫瘤を形成する病気なので、リンパ組織だけでなく、他の臓器、全身のあらゆる組織から発生します。ひとつひとつの事象だけをみていると、なかなか血液疾患だと診断してもらえず、時間がかかったという患者さんもいらっしゃいます。

今後ますますネクサスのような組織は必要となってくるでしょう。患者も情報を得て自分の病気を知り、医療スタッフと一緒になって病気に立ち向かうことが必要だと思います。鈴宮先生も仰っていたように決して、勉強することで医療者と敵対する関係にはなりませんから...向かう相手は病気です。

雨の中、カードを持って立ち、道案内をして下さったネクサススタッフの方々、運営に協力された方々、講演してくださった先生方に感謝、感謝の一日でした。


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悪性リンパ腫の方もそれ以外の血液疾患の方も、リボンの会はどなたでもOK。色んな病気、色んな病院の方が来ていらっしゃいますが、不思議と心通じ合えるものがあります。一度のぞいてみてください。

コメント

_ えんどうまもる ― 2010年05月26日 22時07分10秒

ゼバリンの治療ですが、すでに聖マリアでは治療は開始されてます。
私は聖マリアでゼバリン治療を受けました。
現在、数名の患者さんが聖マリアで治療を終えています。

少し、水を差すようですが、ゼバリンの治療については先生によって見解は差があります。
効果はあるけれど、リツキサンと同じで完治するわけではありません。
再発される方もあります。
高額な薬な上に、一生に一回しか使えないので患者の期待は大きいのですが、やはり完全薬ではないので医師側も慎重になってあるようでした。
副作用についても個人差が大きく、半年以上血小板の減少に悩む方もあるようです。
私自身もいろいろな副作用に悩みました。

新薬が出ると再発患者は藁にもすがる思いで飛びつきますが、効果は本当に個人差があり、落胆することもあります。
特に濾胞性は再発を繰り返す率が高いために本当に天国と地獄を行ったり来たりしているようなものです。
今回の治療もしたことに後悔はなく、やってよかったと思っています。
しかし、その一方でどこまで再発せずにいられるだろうかと冷めた思いもあるのはたしかです。

差し出がましいかとは思いましたが、一患者として書かせていただきました。
失礼いたしました。

_ リボン管理人 ― 2010年05月27日 10時07分00秒

なるほどそうなんですね。ご指摘有難うございます。しっかり確認を取らずに書いてしまって申し訳ありません。

しかし、こういう生きたコメントをお待ちしていました。同じ病気で苦しむ患者さんたちにとても参考になる情報だと思います。

本文を訂正すると、えんどうさんのコメントとの整合性がとれなくなりますので、敢えてこのままにさせて頂きます。

リボンの会の定例会でも、再発した患者さんの体験談を聞くとき、一様に初発の時の告知より再発を告げられた時のショックの方が大きいとおっしゃいます。ご心情お察しします。

どうかえんどうさんも再発されることなく、健やかな日常生活を送られますよう、心からお祈りしています。

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